「ブロー」と「リコイル」の違い

先ず、リコイル式が作動に用いる「反作用」ですが、これは「作用の方向と反対方向に反作用する」と言う
理屈であると私は理解しています。つまり、ブレットの進行方向と真逆である「真後ろ」にしか反作用でき
ないと言う事です。確かにリコイル・オペレーテッドのバレルとブリーチは、結合状態でブレット進行方向と
反発するように真逆に動きます。ブレットの進行方向に対し、ブリーチが横や同一方向(前進)に動く「リコ
イル式」と言うのは存在しません。

Fig1

ではブロウ式ではどうか?ブロウ式は密閉された部屋(銃の場合ボア)を中心に、あらゆる方向にブレッ
トやブリーチを動かす事が出来ます。Fig2に示すように、全方向に力を及ぼす事が可能です。

Fig2

この様に内圧によって「動き得る状態にあるもの」が各々の条件(重量や抵抗)に従って動く訳です。
Fig2にて、左下に飛んでいる軽い物体を「ブレット」、右下の重い物体を「ストレート・ブロウのブリー
チ」、上に飛んでいるのを「ディレード作動のブリーチ」に置き換えて考えて下さい。発生する内圧
(腔圧/ボア・プレッシャー)は同じでも、軽い物(ブレット)は重い物(ブリーチ)より速く、抵抗が与えら
れた物(ディレイ機構付き)は無抵抗(ストレート)の物より遅く、前でも後ろでも上でも下でも左右でも
動きます。これが「ブロウ式」の原理です。もしもリコイル式やガス・オペレーテッドの様に「腔圧が低下
するまで閉鎖され、腔圧が抜けた後に閉鎖解除される」のでは動きません。閉鎖機構がある物を「ブ
ロウ式」と呼ばない(ブロウ式でない)のはその為です。


日本では多くの人がブロウ・バックを「反作用でスライド後退する・・・」と理解していますが、ブロウ式が
「〜バック」だけなら、その説明は誤りではありませんが、前進(ブロウ・フォワード)や側動(曲射銃)も
存在する訳ですから、ブロウ式を「反作用で作動する」と説明すると、必ず矛盾にブチ当たります。前述
した作用・反作用の理屈から考えれば、前方や横方向へのブリーチの動きは在り得ませんからね。

Fig3

Fig3の左は、純粋なブロウ・フォワードを図にしたつもりだったのですが、某所で「キ印」扱いさ
れました(笑)。確かにブレットがUターンする銃はありませんけどね。理屈としては、これがブロウ
・フォワードの筈です。右は実在する「曲射銃」と呼ばれる物です。有名なドイツのボーザッツは
ガス・オペレーテッドなので図には当て嵌まりませんが、米軍のM3サブマシンガン試作曲射銃
などは、ブロウ式なので図に該当します。

現実の曲射銃の実用性などの問題はさて置き、ブロウ式の原理ではこの様な作動方式もあり
得る訳です。説明するまでも無いと思いますが、リコイル式では青文字のB(反作用)方向に
ブリーチは動かせても、赤文字A2の方向に曲げて動かす事は有り得ません。ちなみに相手の
関節を有り得ない方向に曲げるのは田中ぷにえ様です。くるるる〜♪






リコイル式とブロウ・バック(バックのみ)の共通点

さて、過去のFAQ回答にて、私は「ブロウ・バックはガス圧とリコイル(反作用)を併用している」と
書いたのですが、この点について「意味が良く分からない。ガス圧で後退するのと、反作用で後退
するのは同義ではないか」と言った意見がありました。

ここまでのFig1〜3にて、反作用とガス圧作動ではブリーチの作動原理として力の取り出し方が
異なる
点が分かって頂けたと思います。例に出したブロウ・フォワードや曲射銃の場合、反作用と
別方向に作動する訳です。しかしブロウ・バックに関してのみ、反作用方向と作動がシンクロして
います。ガス圧を直接利用しているが、ブレット前進の反作用とも同じと言う訳です。プロップガン
等の場合、ブレットは発射しなくても(反作用が無くても)ブリーチを完全作動させる事は可能なの
で、結論&一般論として言えば、「ブロウ式は『〜バック』であっても、リコイルは関与しておらず、
あくまでも包底圧によるもので、もしも空中に銃をぶら下げて撃ったとしても、ブリーチは完全作動
する」と言う事になるでしょう。

余談ですが、この点はリコイル式とブロウ式の相違点としても、良く例に出されます。リコイル式は
反作用を用いてブリーチ及びバレルを後退させますから、それらを支える土台(フレーム)がブリ
ーチ&バレルの後退にシンクロしてしまうと、作動不良を起こします。翻り、ブロウ式はブレットと
ブリーチの両方が、燃焼圧を中心に両側に飛ばされる訳ですから、力のバランスさえ間違えなけ
れば、土台(フレーム)を吊り上げた状態でもブリーチは完全後退する理屈になります。



Fig4

これは無反動砲と同じ理屈です。しかし無反動砲の場合、ブリーチに該当するガス圧などの
カウンター・マスは後方に吹っ飛びますが(その為、砲の反動は弱い)、しかし銃の場合は、
ブリーチはリコイル・スプリングにてフレームに繋がっています。そしてフレームは射手が支
えている訳で、その点に関してのみリコイル式と同様です。無反動砲と同じ理屈で撃ち出さ
れたブリーチは、バネを圧縮しつつ、フレームで止められるのです。

Fig5

ブロウ式の銃であっても、無反動砲と異なり反動があるのは、反作用方向にブリーチが動き、
それを最終的にフレームが受け止めているからです。こうなると、強力なスプリングを用いた
380ACPなどの銃で軽く銃を握った場合、リコイル・スプリングの最終的な圧縮が妨げられ、
リコイル式と同様の作動不良を起こす事が稀にあります。私が一般論に疑問を持ったのは、
その作動不良を体験してからです。

まあ、この点については確信が持てませんし、あくまで一般論に則るならば「ブロウ式は包底
圧のみで完全作動する」とすべきかな?私的には、ブロウ・バックであっても、一部の強力な
スプリングを用いる種類に限り、リコイルも併用しているのでは?と思いますね。







戻る