ハイドロリック(油圧式)リフター(タペット)

写真のはクレーン製ですが、基本構造はオリジナルに同じです。ご覧の様に簡単に2ピースに分解できます。
上のスプリングが付いた方も分解は可能ですが、通常はその必要は無いと思います。異常の有無は以下の
要領でチェックできます↓。




テスト

先ず、2ピースに分解した時点で、シリンダー内にWD40などの低粘度のオイルを充填します。そして写真の
様にハイドロユニット(小さい方)を組み込んで、指で押し縮めます(→←矢印。足の方は、今は無視してw)。
この時に、内部のオイルがリフター下部のノズル状に細くなった部分から「ブシュー」とダダ漏れする様では、
内部のチェックボールの密着に問題があります。ノズル状の部分ではなく、シリンダーの隙間から漏れる様
なら、ユニット本体が磨耗しています。それらの症状が出た場合・・・そっくり交換した方が早いかなァ?

押しても全く縮まらず、オイルも漏れない(にじみ程度はOK)のを確認したら、次はノズル部分に径1mm程の
丸棒を挿入し、押し付けてやります(足で押している←矢印)。そうすると圧が一気に抜けて、ユニット(バネが
付いた部分)が縮みます。これで作動はOKという事です。

この機構(ハイドロリック・タペット)を説明するのは難しいですが、その役割を一言で例えるなら、「買い物の
支払いとお釣り」かな?お客が請求額より多く預け、キャッシャーはそこから請求額を差し引き、余った分を
お釣りとして返す。請求額と言うのは、「熱膨張によって増減したタペットクリアランス」で、これはエンジンの
熱で変動します。お客は「油圧&油量」で、常に請求額よりも多目を供給します。そしてキャッシャーたる「ハ
イドロリックタペット(リフター)」が、請求額「必要油量」を取り込み、お釣りは「リターン」する訳です。

余計に分かり難い??






アジャスト

「ハイドロリック・リフターが自動でアジャストするんじゃないの?」そうなんですが、そのアジャスト範囲は限
られています。ですから組み立ての際は、その範囲に収まるように組む必要があるのです。自動車の場合、
これがかなり幅広くて簡単なのですが、ハーレーの場合、どうも微妙です。範囲の中でも多めに隙間を設け
ると(緩目に組むと)、若干の打撃音が発生します。油圧は十分過ぎる程あるのですけどね。マニュアルでも
「一杯に縮めた状態からアジャスターを1.5回転リターン」と、かなりタイトです。油圧による実質調整範囲は
3mmくらいなのかなァ?まあ、とにかくその範囲で組めば問題ありません。但し、少し注意が必要です↓。


(写真はユニットの状態が見易い様に、カム山に少し乗せて持ち上げた状態です。実際はカムに乗せず
ユニットが内部に潜り込んだ状態
で、以下の調整を行います)

写真の状態では、内部に残ったオイルでリフターユニットが縮まり切りません。これでは正確な規定値を
出せませんし、このままクランクを回すと、もう一方のバルブと干渉し、最悪の場合バルブが変形します。
IN&EXを調節し終えるまで、クランクを回すのは危険です。クランクを回さなくても、強引にアジャスター
を伸ばして行くと、バルブが大きく開いてしまうので結果的に同じ危険性があります。

ですから写真のバネが伸びた状態から↑徐々にアジャスターを伸ばして行き、時間を掛けて油圧を抜き
ながらリフターユニットを沈める訳です。最終的にここまで完全に縮めます↓。

オイルが抜けて完全に沈みました。ここが所謂「ゼロ点」ですね↑。ここからアジャスト・スクリューを1回転半
戻した位置が、リフターの適正クリアランスです。但し前述したとおり、写真は見易くする為に持ち上げた状態
で、実際は内部に潜っていて状態が確認できません。ですから長さを測るゲージを用いて、確認する必要が
あります↓。

確認

これがゲージですw↑。太さが1mm前後の針金で自作可能。要するに、.53インチの尺部分があれば良い
のです。それをユニットの下部ボディ上端に当て、測定する角部分をユニット上部の上端に合わせる訳です。

こんな感じです。御覧の様に、実際のアジャスト位置(カム山に乗っていない状態)では、内部が殆ど見え
ません。なので、ユニットが完全に縮んでゼロ点にあるか?分かり難いのです。こうしてゲージにて最終
確認をすれば安心できます。ゼロ点まで完全に縮めずにアジャストした場合、ユニットがゲージよりも飛び
出しているので、失敗に気が付きます。

え〜・・・今更ですが、上記は「私の方法」なので、あくまでも参考程度に。実践する場合は、全て自己責
任の下でお願いします。





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