ライフルに関するFAQ51

「30−06と308ウィンチェスターは威力が殆ど変わらないので、米軍用弾として交代された」と言う話や
「精度面では308が上」とか、「30−06は古い火薬時代の弾薬であり大型だが、今の火薬では308の
サイズで事足りる」などなど・・・。それでは何故今でも30−06は廃れずにハンターに愛用されるのか?
何か特殊なメリットがあるのか?


  答え

特殊な理由は何もありません。単にリロード弾薬を作る際に30−06の方がパワーを出し易い、パワフル
な調合が可能な弾薬であるからです。「30−06と308ウィンチェスターは威力が殆ど変わらないので〜」
と言うのは軍用弾での話です。M2ボール(30−06)とM80ボール(7.62NATO)弾薬を比較すると、

M2  →  150グレインFMJ  2740fps  2500ft.lbs.
M80 →  150グレインFMJ  2750fps  2520ft.lbs.
(カートリッジ・オブ・ザ・ワールド参考)

同等どころかM80の方がちょっと上ですね。しかし、民間でのリロード・データを見ると、30−06の方が
数段パワーがあります。しかも選択できるブレットの上限(リコメンド範囲で)は、308が200グレインまで
に対して、30−06は220グレイン、場合によっては250グレインまで可能です。175グレインより重い
ブレットを使った場合、マズル・エナジーは3000ft.lbs.を軽く越えます(くどいですがリロード弾の数値
です。ハンターはリロードする場合が多い)。308ではどう頑張っても2800そこそこですね。コンプレス・
チャージでも、ケース内にパウダーが収まり切らないのです。つまり、軍用弾としては308でも同じ物が
出来るが、より以上のパワー(ポテンシャル)を求めれば30−06の方が上なのです。これは概ね308と
300ウィンマグの中間付近となり、小〜中型ハンティングに最適な弾薬と言えます。米国では大型獣の
ハンティング(ビッグゲーム)は少ないので(皆無?)、これ一丁あれば万能です。しかも歴史が長いので
ブレットやレシピの選択肢が迷うほどに豊富です。米国の銃砲店で「中型ハンティングには何が良い?」
と訊けば「30−06」となる訳です。(勿論308で鹿や熊狩りが出来ないと言う訳ではありませんけどね)
これに「遠射する」と言う条件が加われば、マグナム弾を選ぶ必要が出てくるでしょう。

精度の面でも、中距離で鹿を撃つのに狙撃銃並の高精度は必要ありません。人間よりも大きく、タフな
生き物が相手なので、308より精度が劣ってもパワーのある30−06が適当と思います。軍用の場合、
これが逆になるので、308が採用された訳です。

追記
質問を整理してよく見ると「グリズリー・ベアに対して、308では打撃不足か?それが30−06であった
なら十分なのか?」と言うのもあったのですが(忘れてた)・・・

う〜ん、こればかりは私も経験が無いのでハッキリとは言えません。一般的な話を言えば、特に大きな
グリズリー・ベアに対し、308ではちょっと力不足かも・・・?ここで言う「力」とは初速ではなく、エナジー
です。皮と脂肪の厚い猛獣に対してはブレット・ウェイトが重要で、軽量弾は危険です。308の場合は、
175〜200grのブレットを急所に当てる必要があるでしょうね。30−06の場合、200〜220grのブレ
ットを2500〜2600fpsで飛ばせば、かなり心強い筈です。更に裏技的な話をしますと、公共レシピで
推奨されるデータは安全を考えて低めに設定してあります。実際は自己責任の上で、多くのユーザーが
ホット・ロードを作ります。無責任な事なので大きな声では言えませんが、一流の銃ならばその程度で
壊れません。300ウィンマグも308も、ロッキング基部やチャンバーの厚さは殆ど同じです。非常用と考
え、そう言う弾薬を作っておいても良い訳です。しかし308では前述の通り、ホット・ロードを作りたくても
パウダーがもう入らない。指定外の速燃性パウダーを用いて圧力を上げる方法は危険ですから、絶対
行うべきではありません。ライフル弾の場合、指定パウダーを多く詰めても銃は壊れませんが、指定外
の速燃性を多く詰めれば一発で大破する事もあります。308はどう頑張っても、300WSM(ウィンチェ
スター・ショート・マグナム。胴が太いので、W760なら70gr近くチャージ可能)にはなりませんからね。
と言う訳で、ホット・ロードも考えた場合、30−06は308よりも更にパワーを上げる事が可能。ハンター
に人気があるのは、その辺の事情もあると思います。


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  ライフルに関するFAQ52

@
同じ仕様のバレル(ツイスト、条数、レングス、太さ、シェイプ、等)を、ボルト・アクションとオート・マティ
ックに取り付けて比較した場合、着弾位置(着弾点)は同じになるのか?

A
モシン・ナガン91/30とSVDは同一弾薬を使用するが、こう言った場合、バリスティック・テーブルには
変化があるのか?(スコープのエレベーション数値は同じにはならないのか?)

B
とあるスナイパー・コースで、狙撃手が2名組になり、最初の一人が一発目を撃ち損じると、もう一人が
2発目を撃つ訓練を行っていたが、その際、互いに異なる銃を使用している場合が多かった。もし同じ
銃を使ったならば、弾道のデータなどを交換できて便利と考えるが、実際そう言った用法は無いのか?




  答え

@
特殊な例外(偶然など)を除き、同じにはなりません。もしも、バレルド・アクションを機械に固定して撃っ
たならば、かなり近い着弾にはなると思います。しかし、実際に人間が支えて(バイポッドなどを使用し
ても)撃つ場合は、銃全体の重さやストックのデザインなど、様々な要素が加わるので一致させる事は
難しいです。ましてや、オートマティックの場合はガス導入のシステムをバレルに施す必要があります。
リコイル式やローラーロッキングを用いてフリー・フローにしたと考えても、やはり一致はしないでしょう。

ただ、これはボア・サイティングを行って「ボアラインと弾道が、両者で一致するか?」と言う問題に限っ
ての話です(私はそう解釈したので)。互いにゼロインを行った上で、ドロップ量などのバリスティック・
データが一致するか?と言う問題であれば、これはかなり近い値になるでしょう。オートマティックでの
ガスポートを常識的な範囲で設けた場合、それによって極端に初速が低下する事はありません(この
辺参考
)。同一弾薬を同一仕様のバレルで撃ち出せば、弾道は似通ったものとなります。

ややこしくなったので、図で説明すると・・・

こんな感じ?青線のカーブは3つとも同じ(角度を変えただけ)。バレルが同じ(弾道が似ている)でも、
発射台である銃が異なれば、初期の反動にて、ブレットがマズルを離れる瞬間の発射角度が異なっ
てしまう
と言う事です。弾道曲線自体は大差ないので、ゼロインによって着弾点を一致させれば良し。
(注意:図での着弾位置の違いは一例です。「オートは着弾が下がるんだ」などと、早とちりしない様)


A
その場合、弾薬は同じでもバレルが全く異なるので、弾道自体も変化するでしょうね。然程大きな違い
では無いと思うのですが・・・。実際、両者のスコープは同じではありません。仮にSVDにPUを付けた
としても、エレベーション・ダイアルの数値(距離に応じたドロップ補正値)は微妙に異なると思います。
しかしながら、個人的にM1903A4狙撃銃とM1D狙撃銃を撃って比較した事があるのですが、同じ
弾薬を異なる銃から発射しても、両者M84スコープのエレベーション補正は一致しましたけどね。(笑)
銃やバレルの仕様が似ているので、概ね合致するのかもしれません。理論的には一致しない筈なの
で、精度を詰めて行けば、いずれは異なるでしょう。


B
異なる銃の弾道については上記の通り。仮に全く同じ銃であっても、射手は個々に自分のデータを管
理している筈で「俺の銃が○○だからオマエもそうしろ」と言った事は無いと思います。・・・と、言うか、
軍隊の場合、通常は狙撃手一名に観測手(スポッター)一名で行動します。狙撃手が二人という事は
少ないと思います。狙撃手がミスした時は、傍で双眼鏡等で確認していた観測手が、何所にどのくらい
外れたかを狙撃手に伝えます(射手は反動で着弾地点の瞬時確認が不可)。情報を得た狙撃手は、
自分の頭の中で修正値を弾き出し、即座に次弾を放つ訳です。

これとは別に、同じ軍隊での狙撃(狙撃銃)でも、自動小銃を狙撃銃化したものは、部隊と行動を共に
する狙撃手に多く用いられます。部隊の援護と言う感じで、前進に厄介な障害(トーチカの機関銃手
など)をピンポイントで排除する役割です。映画【プライベートライアン】に出てくる狙撃手がそうですね。
この場合、長射程を撃つ精度や観測手は要りません。多くは500ヤード以内の狙撃で、銃は精度面
よりも連射でのリカバリー性が重宝されます。

軍隊での狙撃とは異なり、警察での狙撃任務の場合、同じ狙撃銃を持つ複数の狙撃手が配置される
事が多いです。ミスの際は即座に次の射手がカバーします。こう言った例では同じ銃を使う方が訓練
面などで有利です。しかしBで述べた通り、弾道学的には同じ銃でも個体差があるので、個々の銃は
それぞれ射手によって詳細な照準セッティングがされています。同一の銃を装備するのは、あくまでも
運用面を考えての事です。




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  ライフルに関するFAQ53

@
自衛隊(たかひろが居た部隊)では、64式のフルオート射撃を、脚使用以外の立射や腰撃ちなどで
射撃する訓練は行ったか(行うのか)?それとも、脚使用・伏せ撃ち限定なのか?89式では立射で
3バースト射撃を行うシーンが見られるが・・・

A
64式のコラムにて、

>3バーストを・・・・と思うかもしれませんが、発射間隔が短ければ、結局、後の2発はどこへ飛んで
>行くか分からない訳で、発射速度の緩和こそが基本的な解決策なのです

と、あったが、逆に発射速度を速くした方が集弾性能が上がるとは考えられないだろうか?

B
64式のセミオートでの集弾性能は、具体的に(○MOAなどの表記では)どの程度なのか?

C
自衛隊で使用する7.62mm減装弾の弾頭重量は7.2グラムと出版物や教本にも記載されているの
だが、こうなるとやはりAKなどに使用する7.62×39と同程度の威力なのか?過去のFAQの回答
疑う訳では無いのだが・・・

D
「64式は射撃の際に制退器のネジを締め込む必要があり、それ以外は緩めておく必要がある」と聞い
たが、本当にそんな面倒くさい必要性があるのか?

E
狙撃銃化した64式は、今まで使用していた銃にスコープを取り付けるだけなのか?コラムでは「当る
銃を選出した」とあったが、つまり狙撃手は2丁の64式を一時的に使用すると言う事になるのか?



  答え

え〜、すいません。質問を溜め込んだので一気に放出です。今年もあと僅かですからね。スッキリさせ
ましょう。

@
空挺普通科では行いました(勿論、当時は64式)。腰撃ち・・・と言うか、「抱え撃ち」ですね。脇あたり
に抱え込んで頭を下げ、なるべく照準線に頭を近づけながら撃ちます。これは最後の突撃射撃を想定
した訓練なので(だったと思う)、射撃線まで走って行き、立ち止まって5〜10発(この辺忘れた)を、
「抱え撃ち」にて連発(レ)で連射します。距離は25mくらいだったかなぁ?当てたい一心で、どうしても
銃を持ち上げ、頭を下げて狙い込んでしまうので怒られました。リコイルの軽い89式(撃った事無いが、
223なら他の銃で経験してます)ならば簡単ですが、308では容易ではありません。皆、外しまくって
いたので、或いはその後に廃止されたかも知れません。また、他の部隊でこれを実施していたか否か
は私には分かりません。また、ストックを肩に付けての「立射」姿勢からフルオートで撃つ事はありませ
んでした。それこそ、何所に飛んで行くか分かりませんからね。

A
リコイルの小さな22LRあたりを、重い銃から撃つのであれば、その理屈は通用します。恐らく、5.56
NATOを軽機関銃クラスから発射するあたりまで(リコイルと銃の重さの比率)は大丈夫だと思います。
しかし7.62NATOを4kgクラスのライフルから連射する場合は無理です。例えば100ヤード先の人的
に3発集弾させようとした場合、銃がリコイルで的から逸れるまでの時間に3発発射するには、とてつも
なく速い発射速度で撃ち出さねば駄目です。それは銃の作動性能を超えた発射速度になるでしょう。
コラムに記したとおり、64式は3発の短連射にて300m先の人的に集弾させます。それが可能なのは
一発毎に照準を修正する時間(発射間隔)があるからです。「フロントサイトに集中しながらコントロール
が出来る」と言うのはそう言う事です。まあ、こうなると「じゃあセミオートで速射しても同じでは?」とも
考えられますが(笑)、慣れてしまえば前者(フルで短連射)の方が断然有利ですね。

B
それは今となっては(当時でも)分からない。今手元にあれば速攻で吟味するのですけどね(笑)・・・
似た様な308自動小銃ではM1Aを良く撃ちますが(マッチバレルではない普通の仕様)、これが概ね
2〜3MOA程度です。(音が出ます→100ヤードでスコープ使用)64式もこの程度だった気がします。
言うまでも無く、これは銃をキチンと固定(方法に差はあるが)しての話です。人間が支えて撃った場合
壁や天井を撃つ隊員まで居りましたから、そう言った体験談等から銃の集弾性能を知る事は不可能。

C
7.2g説ですが、私は絶対にあり得ないと思います。私如きの考えでは納得頂けないと思い、銃に詳し
い方々が集まる掲示板でも尋ねてみましたところ・・・

↓「他ページを選択できます」より質問443を御覧下さい。
http://www.warbirds.jp/ansqn/ansq04.cgi

と言う事です。ここでもやはり例の本が挙げられましたが、別に私が「釣った」訳ではありません。(笑)
教本にも書いてあるとの事ですが、それは未確認。・・・ってゆか教本(教範)って本屋で売ってるの?

D
確かに射撃の際に制退器を増し締めしましたね(「制退器のネジ」ではなく、制退器そのものをネジ込ん
でタイトにする)。特に狙撃銃を使う際は行いました。通常は脚がブラブラ動く様に緩く留めてあり、その
状態で射撃しても問題はありません。理論的にはバレルに遊びのある部品が付いていると精度は悪く
なるのですが、軍用自動小銃の場合は・・・おまじない程度では?現場ではそう指導するかもしれませ
んが、実際には「締めこむ必要がある」と言うほどの事ではありません。
・・・とは言え、あの「皿型座金」を改良せずに逃げ切ったのは笑えますね。自衛隊ならでは・・・

E
私個人の話では、狙撃手の期間中、確かに銃は2丁ありました。コラムにも記しましたが、降下訓練や
演習では、それまで使っていた銃、狙撃銃は射撃訓練や大会の時だけです。スコープは一旦サイト・
インしたら外せませんからね(笑)。「当る銃を選出した」と言うのが嘘か本当かは分かりません。私に
言い訳をさせない為のハッタリかもしれませんね。ですが銃は確かに新品でした。或いは本当に試射
して選んだのかもしれません(少なくとも不良品でないかの確認とか?)。くどいですが、これは当時の
空挺普通科に居た私の話で、他の部隊では分かりません。今まで使っていた銃にスコープを載せる
だけの部隊も、無いとは言えません。(曖昧でスマン)


はい。ちょっと「やっつけ」っぽかったですが、こんな感じです。他にも「64式は良い銃なのか?悪い銃
なのか?」などの直球質問もあったのですが、どんな銃でもそう簡単には決められない。ましてや一国
が採用する軍用銃なら尚更。良い所も悪い所もあるのが普通。もし不備があれば、その都度改良して
より良くするのが常。M16もAKも最初から完全無欠だった訳ではありません。そう言った点から見て
64式は「不憫な銃」と私は思います。コレを言うのは些か抵抗があるが、自衛隊そのものが「不憫な
軍隊」と感じる。そもそも「軍」じゃないし・・・じゃあ何なの?災害派遣をするなら消防レンジャー、治安
維持なら警察で良いじゃん。戦争をしない事を前提とした軍隊?そんな組織で使う銃なら少々の不具
合があっても構いませんよね。どうせ使わないんだから。本気で国防を考えるなら、もっとちゃんとして
くれなきゃ困るよね。災害派遣も重要だが、それで国民の御機嫌とるのじゃなく、ちゃんと国防軍として
国民の支持を得ようよ。死ぬ思いで戦闘訓練して「税金泥棒」扱いじゃあ、隊員だってやる気も失せる。
銃も失くす。情報も漏れまくり。・・・あはは、最悪です。





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  ライフルに関するFAQ54

30-06と300Win MAGにおけるエネルギーの差を、弾頭の性能でカバーすることは可能であるか?
弾道の低伸性とエクスパンションに優れた高性能な弾頭を使用することによって、そのエネルギー
差をカバーできないものか?




  答え

ブレットが前進するエネルギーは、パウダーの燃焼によって得られる訳ですから、ブレットの性能を
高めてもエネルギー自体に変化は無いと思います。ブレット形状による性能の差は、得たエネルギー
を如何に対象に有効に伝えるか?と言った点です。何かを貫通させる目的か?生体にダメージを
与える目的か?それによっても、形状や構造が変わってきます。また、同じく形状を工夫する事で、
バリスティック性能を向上させる事も可能です。この辺は既にご承知でしょうが念のため。

では本題ですが、

300Win−Magが30−06より優れているのは、主に中型獣ハンティングに於ける射程距離です。
30−06の射程を延ばした弾薬と言っても良いと思います。獲物への殺傷力向上を主眼に置いた
のではありません。ですからゲームをどの距離で撃つか?これが両者を選択する際のポイントです。
米国の銃砲店で、この二つを選ぶ際には、たいてい「距離はどのくらい?」と訊かれ、近距離ならば
30−06、長距離ならマグナムを勧められる事が多いです。

ブレット形状を工夫する事で、低伸性を高める事は勿論可能です。しかし標的射撃ではなく、ハンテ
ィング場合、行った先で獲物を倒さねばなりません。こうなると、やはりエネルギーの差は絶対的と
なってくるでしょう。ちなみに狙撃銃の場合、対象は人間ですから、ハンティング用よりは幾分余裕
(?)があります。つまり倒し易い(オイオイ・・・)ので、308あたりの低伸性を高めたブレットで通用
すると言う事です。

私的結論として、ブレット形状で低伸性や殺傷力は向上できるが、長距離でのハンティングの場合、
やはり薬量が多い弾薬に分がある・・・と言った感じ。30−06と300Win−Magでは、近距離では
元々大差は無いが(獲物への殺傷力的に)、長距離になると残存エネルギーが大きいマグナムが
有利と言う事です。


追記
これは回答とは別ですが、もしもブレット内部に火薬を仕込んだ類の物(エクスプローダーみたいな)
があったならば(「もしも、あったなら」ですよ)、低伸性を高めるだけで良いですね。インパクト時に、
別のエネルギー(内部の火薬)が発生して獲物への殺傷力を高める訳ですから。

通常のホロー・ポイントやソフト・ポイント等は、ブレットが持っているエネルギーを元にエクスパンス
しますから、到達地点での残存エネルギーに左右される訳です。



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  ライフルに関するFAQ55

@
ガス・オペレーテッド式のライフルにて、銃身内圧力にてボルト・キャリアを動かす事は、ブレットとは
反対方向にキャリアを撃ち出す理屈にはならないか?この場合、キャリアは最終的にレシーバーに
当る訳で、作用反作用は相殺されると思うが、実際のリコイルに変化は無いのだろうか?(例えば、
同じ銃弾を同じ重量の銃で撃ち出す場合、ガス・オペレーテッドとリコイル式の機構の違いに於ける
反動の差と言う意味で)

A
もしも、キャリアがレシーバーに当らなかったとしたら、無反動砲の様にリコイルが相殺される理屈に
なり得るか?



  答え

@
興味深い質問です。言いたい事は分かるのですが、質問に一発回答すれば答えはNOです。ボルト・
キャリアが移動する事によるリコイル(この場合、バレル&レシーバーが前進方向に向かう事)は発生
しません。質問にも有る様に「キャリアは最終的にレシーバーに当る訳で、作用反作用は相殺される」
からです。しかし同じ様な理屈を利用して、重心の移動を抑える装置ならばあります。競技用で御馴染
みの「アブソーバー」って類のヤツです。これはボルトが後退するのと反対方向に、同等のエネルギー
にてバラストを動かしてやり、ボルト前後の重心移動による振動を防ぐのです。但し、これはブレットを
撃ち出した反作用は一切変化しません(作用反作用の法則)。あくまでもボルト前後動作の振動を軽
減する装置です。ちなみに、私が高校生の頃に使っていたスプリング式空気銃のファインヴェルクバウ
と言う銃も、ピストンが前進するのと同時に、バレル&レシーバーが数ミリ後退し、ピストン前進による
重心移動&振動を打ち消す装置がありました(実際に効果がある)。装薬銃の場合は、ボア・プレッシ
ャーによってバラストを移動させる訳です。

もう一度繰り返しますが、質問の場合、キャリアはボルトと共に後退する訳ですから、上記のアブソーバ
ーとは真逆の動きです。したがって振動軽減の効果もありません。「ガス圧で錘を動かす」的な発想は
幾分似通っていますけどね。

もう一つ、この疑問には根本的な誤解がある気がします。以下にその点を含め↓


A
残念ながらそれもNOです。
大事な点を忘れてはいませんか?そもそも、ボア・プレッシャーとガス・シリンダーに導入されるガス圧
は等しくありません!
この辺を勘違いされている方々が多いようです。平均的なライフル銃のボア・プレ
ッシャーは45000psi(パウンズ・パー・スクウェア・インチ)の高圧です。ブレットがバレル先端に向かう
につれて減圧はしますが、それを考慮してもボア・プレッシャーが等しくガス・シリンダーに入れば、あの
薄々のシリンダーなど破壊されてしまうでしょう。ガス・シリンダーに導入されるガスと言うのは、ブレット
がガス・ポートを通過してマズルを離れるまでの一瞬に、「キャリアを動かすに必要な、ほんの少しを頂
戴する」感じです。ブレットは何時までもボアに有る訳ではありませんから「密閉された2つの部屋を管
で繋げば同じ圧力に・・・」などと言うツッコミは不要。そしてその時に幾らのガスを頂戴するかは、穴の
大きさで決める事が殆どです(レギュレーター式の場合、可変)。ちなみに穴の位置と言うのは、作動の
タイミングやポート焼損などを考慮して決定されます。

と言う訳で、バレルにポートが開いているからと言って、ボルト・キャリアがブレットと同じ圧力で動かされ
る訳ではないのです。したがってキャリアがレシーバーに当らなくとも「作用と反作用が相殺」などと言う
事はありません。


追記
何かまたメールが沢山来たのですが(笑)。何所やねん?何所が火事になっとんねん!?しらんがな!

マア茶でも飲んでモチケツ
____ _______/
      V
   ∧ ∧  シュッ!        ガン!!
   ( ゚Д゚) ミ            从_∧
   /  つ   ====== 旦    )
 〜/  ノ              (    )
  (/ し'

>「密閉された2つの部屋を管で繋げば同じ圧力に・・・」などと言うツッコミは不要。

これはガス・シリンダーにガスが取り込まれる時間を考えれば理解できます。ガス・シリンダーにガスが
取り込まれるのは、ブレットがガス・ポートを通過した時に開始され、ブレットがマズルを離れた時点で略
終了します。この時間が1秒くらいあるなら圧力はポートを連絡して等しくなり得るでしょう。しかし実際の
時間はどれくらい?初速が850m/sとして、ガス・ポート〜マズルまでの距離が概ね20cm(.2m)で
計算してみて下さい。なんかもう超瞬間ですよ(計算めどい)。この様に時間が限られているから、ポート
の径で流量制限する事が出来、結果的にそれが圧力調整に繋がるのです。

ちなみに例外的に、かなりボア・プレッシャーに近い圧力になる物もあります。私が知る限りではM1カー
ビンです。これは圧力の比較的弱い30カービン弾に、超ショートストロークである「タペット・ピストン」の
組み合わせで可能になったデザインと考えます。しかしピストンやポートの摩耗が激しいと言う話も聞い
た事があります。私の手元にあるM1カービンも、ピストンの取り付け部分に既にガタが発生しています。
逆に、取り込み時間が極端に少ないのがM1ガランドです。ポートからマズルまでの距離は僅か4cm!
先の計算で時間を算出してみて下さい。ライフル用のパウダーは時間を掛けて圧を上げますから、先端
付近でも十分なプレッシャーが残っているのでしょう。




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  ライフルに関するFAQ56

@
M16系ライフルのガス・システムは、日本では「リュングマン・システム」と呼ぶが、これは米国では一般
的な呼び名として通用しないのか?


A
M16系ライフルのリュングマン・システムでは、「ガス・ピストンは存在しない」とされているが、ボルトが
ピストンの形状をしており、また、ガスは密閉されたキャリアの内部に取り込まれた後に作動するので、
AG42とは異なる部分があるのではないか。(@の質問と被るが)これを「リュングマン・システム」と呼ぶ
のはおかしいのではないか。




  答え

@
言われてみると、確かに「システム」とは言いませんね。あまり気にしていませんでしたが、私の周り(米国
人ガンマニア)では、「リュングマン・タイプ」などと表現します。厳密に正式なシステム名称ではないと思い
ますからね。「ダイレクト・・・何とか?(忘却)」言う名称もあったと思いますが、むしろそちらは実際に耳に
した事がありませんね。呼び名と言うならば「リュングマン・システム(タイプ)」でも通用すると思いますよ。
・・・それよりも「リュングマン」と言う発音が微妙(笑)。ユンマン?ヤンマン?かなァ?なんかそんな感じ。


A
確かにAG42とはちょっと異なりますし、ボルトはピストン的な形状はしておりますが、しかしピストンと言う
のは自体が動く事によって機能するのが定義と私は考えます
ので却下!M16の場合、ガスで動くのはピ
ストン(ボルト)ではなく、シリンダー側(キャリア)ですからね。

簡単に図にすると(形状は適当)こんな感じ。



先ずガスで動かされるのはグレーのキャリアであって、緑のボルトはバレル側にある訳です。この場合、
「何がガス圧で動かされるか」と問われれば、やはり「キャリア(シリンダー)」となるでしょう。

実際、パーツ名称でも「ピストン」と言う表現は何所にも用いられていません。ピストン的な部品はボルト
であり、ピストン・リング的な部品(輪っか)はボルト・リングと言います。

図でも分かるように、要はAG42のガスを受け止める部分がチャンバー形状(容積が多きい)になって
いるだけの話です。AG42もガスを受け止める部分は小さな凸凹になっていますからね。何故、M16が
この様な大容量デザインを採用したか?恐らく、弾薬のプレッシャーによる作動圧力にある程度の上下
幅を設けた場合(軍用ではそれが求められる)、AG42の様な小さな受け面では安定しなかった(作動
圧がシビア)だったのだと想像します。しかし結果的に、この部分がコンベンショナルに比べて汚れまくり
ます。現在はそれによる作動不良は解決した様ですが・・・

ってな感じで、やはりM16のガス・システムは「リュングマンAG42」の変形型として私的に理解しており、
「リュングマン・システム」でも別におかしくはないと思いますよ。


追記
寝る前に考えついたんですが、M16がAG42と異なるもうひとつの点は、ガスが取り込まれて膨張する
過程で、それがボルト(=マイクロ・ロッキング・ラグ)を回転させる力に直接結びついている事ですね。
キャリアが後退すると同時に、キャリアに設けられたカムによってボルトが回転する訳ですが、その間に
(キャリアとボルトの間に)ガス圧を挟む事によって、ポジティブにボルトを回転(閉鎖解除)させている事
になります。この点に何か特別な理由が存在するのかは、現時点では私的に不明です。


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  ライフルに関するFAQ57

@
「ヘッド・スペース過多」などと聞くが、それはどういう意味か?ヘッド・スペースが多いと、どのようなトラ
ブルがあるのか?

A
ヘッド・スペース過多がケース切れに繋がるのは分かるが、そのプロセスは?何回くらいのリロードにて
切れるものなのか?或いはリロード回数(ケース使用回数)は直接関係ないのか?

B
少々のヘッド・スペース過多ならば、ファイア・フォーミングしたケースを繰り返し使う事で解決するのか?



  答え

@A
ヘッド・スペースとはチャンバーにカートリッジが装填された状態で、ボルト・フェイスとの間に出来る隙間
の事を指します。この隙間は、ボトルネック・カートリッジではショルダーがチャンバーにタッチした状態で
測定します。或いはショルダーの隙間とヘッド〜ボルト・フェイスの隙間を足しても同じ値になる筈ですが、
そう言った測定は困難でしょう。尚、ヘッド・スペース・ゲージ等で測定する場合、ヘッド・スペースの寸法
は、弾薬の種類によって異なります。例えばボトルネックでは、ショルダー〜ボルト・フェイスまでがヘッド
・スペースとなり、カートリッジを装填して出来たクリアランスが実際のスペースとなります。ストレート・カ
ートリッジでは、ケースマウス(ケース先端)からボルト(ブリーチ)フェイスまでです。リムファイアやベルテ
ッドなども測定法は異なりますが、要するにカートリッジを装填した時にボルト・フェイスとケース・ヘッドの
間に出来る隙間と言う点で同じ意味です。

ヘッド・スペースの量は、バレルのネジ込み具合などでも左右されますので、古い軍用ライフル等でバレ
ルが交換されている物は要注意です。

ヘッド・スペースが過多ですと、質問Aにあるようにケース切れを起こし易くなります。酷い物だと一発で
ケースが千切れ(亀裂などと言う生易しいものではなく)、事故に繋がる場合も少なくありません。

ケースが切れる過程ですが、下のイラストが典型的な一例です。







1図のように、隙間はケース・ヘッド〜ボルト・フェイスとショルダー〜チャンバーにありますが、ファイア
リング・ピンの打撃で弾薬が前進し、隙間はボルト・フェイス〜ケース・ヘッドに集中します(2図)。この
状態で弾薬が発火しますと、内圧によってケースはその位置(前進位置)でチャンバーに張り付きます
(3図)。こうなると、まるで圧延されるようにケースはヘッドの隙間方向に伸ばされます。ヘッド付近は
肉厚なので、その手前辺りでケースが千切れます(4図)。圧力状態やストレスの伝播具合によって、
ケースが切れる位置や切れ方(切れ方向)は異なるかも知れません。

自動銃は作動の確実性を重視する為(ヘッド・スペースがギリギリですと、長めの誤差がある弾薬では
閉鎖不良を起こします)、このヘッド・スペースが多目に設けられる事が多いです。しかしボルト・アクシ
ョンでも同じ理由によって、ある程度は設けられています。スペースが全く無いのも、実用銃としては困
る訳です。

リロード回数との関係ですが、通常はスペースが適切或いはタイトであれば何回使ってもケース切れ
など起こしませんし、多目なら数回で切れ(自動銃に多い)、スペースが酷ければ一発で切れ、シャレ
にならんくらい酷いと吹き戻しによって事故になります。

余談ですが、上記(イラスト)の理屈はブロウバックやデェレイド・ブロウバックにも通用します。腔圧が
高めのブロウバックが、試作段階などでケース切れを起こすのは同じ理由によるものです。つまり、圧
が高い内にケース・ヘッド&ボルトが後退を始める訳で、3図〜4図の状態と同じになる訳です。HKの
ローラー・ロッキング(デェレイド・ブロウバック式)のチャンバーには、フルートと呼ばれる溝が彫られて
いますが、これは腔圧の一部をケース外側に送る事で、ケース内側とケース外側(一部)の圧力差を
少なくし、3図の状態を回避する為の構造です。


B
う〜ん、理屈は分かるけど・・・ちょっと乱暴かも?確かに理屈から言えば似たような事柄なのですが、
ファイア・フォーミングで改善される点は極小さなクリアランス規模の事なので、ヘッド・スペース過多と
言った「大きな誤差」の解決法とは異なります。

また、ファイア・フォーミング自体が、必ずしも全てに有効な精度向上策とも限りません。例えば一般の
緩めのチャンバーならば、ファイア・フォーミングを行ってもピッタリとはなりません。ケースの自己復元
作用によって、大きく膨らんだ後に幾分戻ってしまうのです。ファイア・フォーミングが有効なのは、予め
タイトに造ってあるチャンバーなどです。メーカーにもよりますが、バーミント・ハンティング用ライフルや
スナイパー・ライフル、競技用銃などです。下は私のHSプレシジョンにてフォーミングした物ですが、形
状が微妙に違うのが分かると思います。この程度の極小さな矯正なのです。




どちらもラプア製のブラスです。







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  ライフルに関するFAQ 58

@
当サイトのマウザーKar98kのレポートにて、エキストラクターの説明がされているが(こちらのページ)、
以下の説明について、もう少し詳しく知りたい。

>マウザー式クロウ・タイプの利点は、不完全閉鎖の状態からボルトを引いてもエジェクトする点ですね。
>可動式の場合、一旦閉鎖状態にしないと、エキストラクターはリムを噛みません。閉鎖前(装填途中)の
>段階でボルトを引くと、弾薬はチャンバーに残ってしまいます。


A
上記タイプ以外のエキストラクターの場合、装填を途中で中止してボルトを引くと、その弾薬はエキストラ
クターが引き出さない為に薬室に残ってしまい、それに気付かず(抜かずに)次弾を装填しようとすると、
弾頭がプライマーを突いて暴発すると言う話があるが、それは本当か?マウザー式以外は、実際そんな
危険が伴うものなのか?



  答え

@
滅多に無いシチュエーションとは思いますが、例えば薬室に装填しようとボルトを前進させている途中で、
「やっぱ装填やーめた!」と言ってボルトを引き戻した際、マウザー式の場合は、その時点(途中で中止
した状態)でもエキストラクターがリムを咥えていますから、弾薬は引き出されてエジェクトします。大した
メリットではありませんが、質問Aの様な危険性を回避するには有効な機能の筈なんです・・・が!

今回実際にやってみたら、100%確実と言う訳には行きませんでしたね。個体差もあるでしょうが、一応
動画で撮影してみました。

使用した銃はマウザーKar98kとスプリングフィールドM1903 動画の流れはマウザー 奥側 手前側
スプリングフィールド 奥側 手前側 の順番です)

動画 「やっぱ装填やーめた」場合の引き出し率

ページで開く

マウザーではエジェション・ポート側の成功率は高いのですが、奥側ではエラーが多かったですね。逆に
スプリングフィールドは奥が調子良くて、エジェクション・ポート側の場合、引き出すけれどエジェクトしない
(エキストラクターの噛み込みが浅い為)のが殆どでした。勿論、現在の銃などは確実にエジェクトする物
もあるかも知れません。

ちなみに、この「リムが下からスリップ・インするタイプ」を「コントロールド・フィーディング」と言い、現在も
ルガーやサコーで採用しています。実験での成功率は兎も角、このタイプ以外のカウンター・ボア+可動
式エキストラクターでは、ボルト・ハンドルを下げて完全閉鎖までしないとエキストラクターはリムを噛まず、
動画の様な事は全く出来ません。
つまり、それらの銃(レミントンM700等)は「やっぱ装填やーめた」は

 禁則事項です(はあと)。


A
確かに危ないです。質問@の終わりで述べましたが 禁則事項です(はあと)。 しかし実際にやって
みると、際どい所でプライマーを突くのは避けるようです。一例ですが・・・

豊和M1500(ダブル・カアラム&ダブル・フィード)にて エジェクション・ポート側  奥側

H‐Sプレシジョン(シングル・フィード)にて

ストレートに送られるH‐Sでも、プライマーには当りませんでした。弾薬がフィードされる際、マガジンから
斜めに押し出され、フィーディング・ランプで方向を変えつつ装填される為、チャンバー入り口ではブレット
の先端は未だ真ん中にはない訳ですね。しかし、小口径弾薬などは薬室径に対してプライマーの面積の
割合が大きいので、危険性は増す筈です。今回の例では大丈夫でしたが、装填を途中で止めて弾薬を
引き抜く事は、たとえコントロールド・フィーディングの銃であっても行うべきではありません。安全第一!

追記
今回のテストに使った弾薬は、ダミーとプライマーだけ装着した空ケースです。くれぐれも実弾で検証しな
いように(笑)。




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  ライフルに関するFAQ59

@
FAQ57↑で説明しているヘッド・スペースは、リムレスのボトルネックの場合であるが、リムド弾薬では
リム前縁からボルト・フェイスとなるので、ヘッド・スペースの管理が容易になり、リムレスほど神経質にな
らずに済むのか?もしそうなら、旧軍の小銃弾薬をセミリムとしたのは、そう言った理由からか?

A
リムド弾薬の場合、ヘッドスペースがOKならば、ケース損傷は起らないのか?





  答え

@A
先ず、リムド弾薬と言っても大きく2種類ありまして、ストレート・ケースとボトルネックです。前者は黒色火
薬時代のカートリッジや、現在ではリボルバー用カートリッジが主ですね。このストレート・ケースの場合、
ヘッド・スペース(リム前縁〜ボルト・フェイス)がOKならば、ケース・マウス(ケース先端)の長さが多少
違っていても問題ありません。例えば357マグナムのシリンダーから、38スペシャルを撃つような事も可
能な訳です(とは言え、厳密にはブレットのジャンプやガス漏れの問題があるので好ましくはありません)。
しかしボトルネックのリムド弾薬の場合、ヘッド・スペースがOKでも、ショルダー部分に大きな隙間があれ
ば、ケースが裂ける可能性は高いです。こんな感じ↓

と言う訳で、リムド弾薬でもボトルネックの場合、ヘッド・スペース以外のトータル精度も最低限確保されて
いなければならず、リボルバーの例(357と38)の様には行かないと言う事です。


で、旧軍の6.5mmセミ・リムドですが、これは「セミ」の名のとおり、リムの突起が極僅かで(この辺参考)、
更にチャンバー側に引っ掛かる部分も小さいので、他国のリムド弾薬とは依存度(?)がちょっと異なります。

写真で比較しましょう。先ずは代表的なリムドのモシンナガン↓





↑銀色に剥げているのが(赤矢印)リムの当る部分。ほぼ全周に亘って引っ掛かります。





続いて303ブリティッシュのbSライフル





こちらもモシンナガンと同じ。但し、エキストラクター部分とフィーディング・ランプ部分は除きます。


で、こちらは問題の三八式(写真は九七式狙撃銃)6.5mmセミリムド↓







御覧の通り、リムは赤矢印で指した2点でのみ保持され、上側はホンの僅かしかありません。リムが少し
でもヘタっていれば中に入り過ぎてしまうので、リムだけでヘッド・スペースに頼るのは心許ない感じ。
この場合、先のイラストの事故を防ぐ目的も併せて、ショルダーまでの寸法精度も重視されていると思い
ますね。実際、私の所有するアリサカ6.5mmは、全てショルダーがタッチします。なので一番上の写真↑
でリムが当たる部分も、銀色に剥げていません。

と言う訳で、「セミ・リムドによってヘッド・スペース管理を容易にする〜」と言う事は、私は違うと考えます。
「じゃあ何でセミ・リムドなの?」知らんがな(爆)。あまり意味が無かったから、7.7mmではリムレスに
したのでしょう。現在も敢えてセミ・リムドにするケースは殆ど無い筈です。


余談
それにしても、アリサカのカウンターボアード・チャンバーは素敵です。写真の段差に、ボルトがすっぽり
収まる姿は、見ていて気持ちが良いですね。安全性の点で、この銃が現在も米国のガンスミスに高く
評価されるのは、この辺にも理由があります。



オマケ

これは↓三十年式小銃の場合。三八式と違い、下と同じ受け面が上にもあります。三八式よりは受け面が
広いですが、それでも50%にもなりません。



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  ライフルに関するFAQ60

@
同じトグル・リンク機構の銃でも、ルガーP08はショート・リコイルに分類されるのに対し、ピダーセンは
ディレード・ブローバックに分類される。何所が違うのか?結局、P08もディレード・ブローバックの一種
と言う事なのではないか?

A
ピダーセンはディレード・ブローバックであるが、それをコピーした日本の日本特殊鋼製の試作銃は
ガス・オペレーテッドとされている。用語上の分類は兎も角、総ての自動銃はガス・オペレーテッドと言
う事ではないか?


  答え

@
違います。P08と異なり、ピダーセンの場合、ブリーチ・ブロックはレシーバー(及びバレル)と結合状態
にはならず、ブリーチ(遊底・ボルト)は発射と同時に(ブレットと同じ時期で)後退を始めます。この点で
はG3などのローラー・ロッキングと同じな訳です。ブリーチを支えるトグル・ジョイントの軸穴は楕円にな
っている為、ブリーチは僅かに後退(ズレる程度に微小)した後、一瞬停止します。しかしブリーチ内部の
ロック解除装置は慣性でそのまま後退を続け、一定の時間をおいてトグルを折る方向に作用します(膝
カックンの要領)。そしてトグルが折れ、ブリーチは開放される訳です(ピダーセンの図解資料が全く無
いので、イラストは描けません)。つまり、ボルトは一時たりともバレルと結合状態には無く、発射と同時
に後退を始め、ブリーチ内の遅延機構によって一瞬の遅れをもたらす
・・・これは紛れもなくディレード・
ブロウ・バックと言えます。難しい事は何もありません。

P08の場合、トグルの軸線の関係でブリーチとレシーバー(及びバレル)は完全な閉鎖(結合)状態に
あり、両者は結合したまま一定距離を後退し、フレームのランプに当って解除される。紛れもなくショート
・リコイルです。難しい事は何もありません。


A
違います。日特製のピダーセン・コピーには2種類あった筈です。一つは上記のピダーセン同様のディ
レイド・ブロウバックで、もう一つはバレル前方に開けたガス・ポートから導いたガスによってピストンを
動かし、それによってトグルを折る構造になっています。従ってピストンがトグルを折るまでは、P08と
同様、バレルとブリーチは結合された状態にあります。つまり、これは結合状態にあるバレルとブリーチ
を、腔圧から導いたガスを利用して開放する
点に於いて、紛れもなく「ガス・オペレーテッド」な訳です。
難しい事は何もありません。


頂いたメールの一つに、「日本の銃雑誌に『総ての自動銃はガスオペレーションだ』と説明されていて
共感した」との旨がありました。私的には何とも悲しい事です。リコイル・オペレーテッドが日本語訳では
「反動利用」と解釈されているにもかかわらず、ブロウ・バックについても未だに「反動利用」などと説明
される事も多い様です。昔はブロウ・バック=「包底圧利用」と言う正しい理解と解釈による言葉があっ
たのに。銃器の世界で区分けされる自動銃の各作動方式は、火薬の燃焼圧力がどの様なプロセスで
ボルト(遊底)を作動させるかによって、名称区分しています。適当に命名している訳ではありません。
プロのライターがそう言った記事(私は話しの前後を読んでいないので何とも言えないが)を書くのはガ
ックリします。

・・・と、偉そうな事を書く私も、日本に居た頃は「自動銃は総てブローバックの亜流」くらいにか理解して
おりませんでしたけどね。嗚呼・・・


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