三十年式小銃


この銃は明治三十年に正式となった小銃で、使用されたのは日露戦争となります。明治三十年と
言えば1897年です。三十年式はマウザーGew98を参考にしたと言われています(注*)。Gew
98は正式となったのが1898年ですから採用年に関して、三十年式はGew98より先です!日本
軍の小銃は最先端だった訳です。

(注*)これは良く観察した結果、Gew98ではなく、その前身のM93〜M96マウザーあたりを
参考にしたかと、私的に推測します(ボルト・シュラウド周辺が酷似)。口径に6.5mmを採用した
点から、恐らくはM94〜M96スウェーディッシュ・マウザーがサンプルだったのかな?と言う訳で
M93〜M96を参考に完成した時点で、ドイツでは最新型Gew98が採用されたと言う事になり
ますから・・・「最先端」の称号は剥奪(笑)。

開発者は開発グループの長、【有坂成章】大佐。三八式に使用された6.5mm弾薬も、この銃と
共に開発されたのです。アメリカでは現在、旧日本軍小銃を「アリサカM〜」と言いますが、この
有坂三十年式がルーツなのです。実際には後継の三八式は南部麒次郎が設計しているんです
けどね・・・アメリカで「ナンブ」と言えばピストルを指してしまいます。

三八式も傑作小銃ですが、個人的には三十年式の方が好きです(笑)。とにかく出来が素晴ら
しい!軍用銃としては三十年式より三八式、そしてそれよりも九九式が優れているのは言うま
でもありませんが、作品としての出来具合は三十年式が一番だと思います。

レシーバー後部も三八式では円筒形ですが、三十年式は巧みに削り込んであり、ボルト・ハン
ドルのカッチリとしたリセスは、思わずフェラーリのシフトゲート(笑)を連想します。(しません?)

さて、のっけから褒め褒めですが勿論欠点もあります。有名なのが「砂によるトラブル」ですね。
日露戦争時に砂嵐に遭遇し、ボルトとレシーバに砂が噛んで作動不能に陥ったと言う事で、三
五年式、三八式にて採用されたダストカバーはこれが教訓となって出来た物です。砂が噛んで
作動不能になるのは、他の銃も似たような結果だとは思いますが、確かに三十年式はボルトと
レシーバー間のクリアランスが小さ過ぎる気がします。作動は滑らかですが、過酷な状況では
それがかえって仇になる訳です。三八式では明らかに隙間が多くなりました。一見、精度が悪
そうですが、軍用銃にはそう言った考慮(クリアランス)も必要な訳ですね。

「最先端」の称号は私的に剥奪されてしまいましたが、とは言え、この三十年式小銃が当時の
トップ・クラスであった事は確かです。







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