バネ力と回転力


1〜2の状態では、回転の中心(ハンマー・ピン)から力を受け取る点(ストラット・ピン)までの
距離と、メインスプリングの圧縮状態から、恐らく略一定の回転力でハンマーはコックされる
筈です。これをもし、3の状態までもって行くと、スプリングの力は回転力として作用しなくなり
ます。上手く手を離せば中立してハンマーは落ちないかも?この原理を応用して、シアに掛か
る部分でのハンマー回転テンションを軽減させているのがコルト・ゴールドカップです。




ゴールドカップのハンマー

左はノーマル・ガバメント、右がゴールドカップのハンマーです。
ハンマーピンを両者に貫通させた同じ位置で、ストラット・ピン位置を比較すると、御覧の様に
ゴールドカップの方が低い位置に付いています。これを先のイラスト図に当て嵌めると、同じ
コッキング角度の状態で、ゴールドカップは上のイラスト 3 の状態に近くなる訳です。つまり
回転力は弱くなります。実際にハンマーをコックすれば実感できます。こうする事でシアに掛
かる力を軽くし、トリガー・プルを軽くしているのです。他の競技用ピストルも、これを考慮して
いるモデルは多いです。但し、あまり 3 の状態に近づけると、シアが外れた後のハンマー
動き出しが鈍り、ロックタイムに影響します。やり過ぎは禁物。







リボルバーの場合

多くのDAリボルバーは、図の様なリンクを介してハンマーに回転力を伝えます。これはリーフ・
スプリングを他部品(写真ではリバウンド・スライド)に干渉させない目的もありますが、赤線で
示す様に、力関係も変化させています。写真の例(S&W M586)の場合、略一定の力で
コックされます。チーフス系はコイル・スプリングですが、この場合、一番上の図と同様、ストラ
ット位置の変化によって同じ結果になると思います。

コルト・(旧)DAリボルバーの場合、このリンクによる変化は著しく、ハンマーはコックするほど
軽くなります(全てのモデルが必ず、と言う訳ではないが)。下の写真(M1917)がそれです。




コルトDA(M1917やパイソン等)

スゴイでしょ?「これでもか!」と言うくらい変化させています。コルト製DAのプルが重いと言う
話がありますが、ハンマーのテンションに限って言えば、この様にコックするほど軽くなると言う
特性があるのです。物によってはトリガープルは然程重くはありません(メインSPが弱目と言う
反則技の影響なのだが)。また、旧コルトDAの松葉スプリングが、トリガーとハンマーの両方を
同時に圧縮しているからプルが重い・・・と言う話ですが、両方を兼ねるのが悪いのではなく、
バネを有効幅いっぱいに使ってしまっているのが原因です。写真で分るとおり、コッキング状態
では、バネは殆ど圧縮され切っています。これではプルも重くなり、耐久性の面でも不利です。
フルコックの状態で、バネは圧縮の中程くらいが理想だと思います。しかし写真で分かる様に、
スペース面で、それは無理です。コルト旧DAの欠点はここです。また、以前雑記で説明した
S&Wの2段階保持のDAアクション
も備えていません。コルト製旧DAのプルが評判悪いのは
この2点が原因です。(マークV以降のフルチェンジ版もイマイチだが)

追記
本件とは関係ありませんが、上のコルトの写真ではハンマー・ブロックが動いていませんね。
これはサイド・プレートを外した時に、トリガーの引っ掛かりが外れた為です。説明の内容には
影響しませんが・・・一応念の為。



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