更に深く考察

これは何れの機会に詳しく説明しますが、M1A(M14)のガス・ピストンは、作動に必要量のガスを
取り込むと自動的にポートが塞がり、余分なガスは導入しないシステムになっています。無駄が無く、
作動は常に安定している優れたシステムです。

しかし、言い換えれば今回の実験には相応しくない仕様とも言えます。例えば、M16のリュングマン
等は、ガスが垂れ流しに近い状態ですからね。そう言った銃の場合、ガスポートは初速に影響する
のではないか??

と言う事で急遽、ガスを垂れ流しにすべく、先端のガスシリンダー・プラグを外して撃ってみる事にしま
した。これでピストンのカットアウトとは無関係に、ガスは大気中に放出されます。

注意
これは銃の取り扱いとしては不当です(意味も無いし)。ガスポートが焼損する事も考えられるので、
真似しないで下さい。(実際には、数発程度なら全く問題ないのですが・・・)







ガスシリンダー・プラグを外す

簡単に言うと、蓋です。中は空洞になって、チャンバーの一部にもなっています。
私は毎回外して掃除しますが、500発くらいは何もしなくても大丈夫な筈です。










専用レンチ

先程話した、コンビネーション・レンチです。
クリーニング・ロッドの柄になったり、レンチやドライバーになったり、カートリッジ・チャージャーに
なったりと機能的です。バット・プレート内に収納されますが、スプリング・フィールドで新銃を買っ
ても付属はしません。私はいつも後から米軍オリジナルを購入します。







    。 。
      / / ポーン
( Д )

写真を見ての通り、スレッドは細かいので、組み立てる際は塗油を忘れずに・・・
また、あまり固く締め上げると外れなくなってしまうので注意。レンチを軽く「トン」と
叩くだけでOKです。

さて、これでガスは全て前方に抜けてしまうので、ポートからのガス逃げが、どの
程度初速に影響するかハッキリします。







セルフ撮影

閲覧する方々から、「撃っている(構えている)写真がもっと見たい」とのリクエストが多いのですが、
撮影助手は何時も付き合ってくれる訳ではないので、一人だと大変なんです(泣)。

写真はセルフタイマーで、慌てて構えたところです(笑)。ボルトを前進させて撃つには、間に合わな
かった・・・

ゴッツイ3脚に1眼レフを据え、何やら真剣にカメラをセットしながら、突如、ダッシュでベンチに駆け
て銃を構え、暫く身動きせず、再びカメラに歩み寄る・・・繰り返し。正直、かなり恥ずかしいです・・・
もっとも、迷惑さえ被らなければ、他人の少々の奇行には全く動じないのがアメリカ人ですからね。
ルールに違反しなければ、他は全て自由なのが良いところです。日本だと、セオリーや常識から
外れただけで異端視される様ですが・・・最近はそうでも無いのか?

激しく脱線しましたが(笑)、肝心の結果、ガスを開放した場合は

2745
2698
2728
2752
2706

平均 2725 fps

通常作動時と全く変わりませんね!・・・無駄骨だった?嫌々、貴重な結果です!



まとめ

各種実験数値の結果は以下の通り

通常作動の平均 2726 fps
ガスカットの平均 2740 fps
ガス開放の平均 2725 fps

まあ、最初にある程度想像はしていましたが、その通りの結果でした。厳密にはガスを作動に
利用した場合、初速は若干低下しますが、威力が低下すると言った程ではありません。これは
ガスポート式のコンペンセイターを装備する銃(含・ハンドガン)にも同じ事が言えます。

但し、ポートの数や大きさによっては、そのポートまでの銃身長しか有効にならない可能性も
あるでしょう。例えば、全体のバレル長が26インチ、ポートまでの距離が22インチだった場合
22インチバレルと26インチバレルと同程度の差(恐らく数百fps)が発生する可能性もある。
と言う事です。想像ですが、AK系の小銃はポートが大きいので、かなり影響があるかも?
とは言え、必要な性能は十分に保持しているので、何も問題はありません。




尻論!(誤

大差なし!






追記
初速に大差はありませんでしたが、前ページで述べた様に、肩に感じるリコイルは明らかに
異なりました。つまり、自動銃は初速は同じで、反動がマイルドになると言う特性があると
言えます。但しこれも厳密に言えば、「反作用自体は変わらないが、リコイル・スプリングが
伸縮する事で衝撃が間延びし、異なった感覚に変換される」
と言う事です。なので、自動銃
がリコイルの点で、速射性に優れるとは言い切れません。例として、リボルバーの反動は
同弾薬を使用するオートよりも、速射し易い(マズル・ジャンプが少ない)場合があります。

・・・グタグタになったので纏めると

自動銃の反動は、衝撃は少ないが間延びした反動が長く尾を引く。挙動は乱れるが、身体
への痛みは少ない。

固定ボルト(含・リボルバー/シングル・ショット)の反動は、衝撃は強いが、一瞬で終わる。
挙動は乱れ難いが、身体(肩や掌)には痺れる様な痛みを与える。



追加質問
ガスカットをしてピストンを止めた場合、精度は変化しないのか?と言う質問を受けました。
今回の実験以前に、そのテストをしましたが(写真のM1Aで)、精度は殆ど変化無しでした。
ただ、反動が変わるのでインパクトは若干移動しました。

もし写真のM1Aより、もっと精度を上げたスーパーマッチや狙撃銃のクラスであれば、多少
影響はあるかも知れません。

また、ガス・ピストンが動く事で、精度に影響を与える事は殆どありません。ピストンが動き
出して、バレルにストレスを与える時点では、既にブレットは飛び出していますからね。

自動銃がボルトアクションよりも精度が出し難いのは、バレルに付属する物が多く、振動を
均一にし難いからです。ですから、先のガスカットの様に、ピストンの動きを止めたところで、
精度は上がらない訳です。ピストンが動く事ではなく、バレルに色々と付属する事自体が
問題
なのです。M16系カスタム銃のガス・チューブだけとか、PSG1の様にバレルに何も
付属しない場合は、付属品の影響を最小限に抑える(或いはゼロにする)ことが出来ます。

バレルをフル・フローティング化した場合は、特にその影響が出ます。M1Aスーパーマッチ
や狙撃銃クラスは、一応フローティング・バレルですが、M16系カスタム銃のフル・フロー
ティングに比べると、やはりバレルに付属(及び接触)するピストンやオペレーティング・ロッ
ドの影響を多少受けます。

*厳密に言えば、モデファイされたM16(円筒状のハンド・ガードがレシーバーに固定され、
バレルがフローティング化されている)もチューブが付属するので、完全なフローティング・
バレルにはなり得ない。







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