ガス・オペレーテッドの作動に、ブローバック作動の理屈は作用しているのか?

私も以前から疑問には感じていたのですが、ガス・オペレーテッド機能における、ガス・ピストンのボルト・キャリアーの突き押しは、ボルト作動のどこ
まで作用しているのか?ボルトが完全に後退するまで突き押すのか?或いはロッキングの解除まで行って、その後は反動によって後退するのか?
今までガス・オペレーテッドの銃をいろいろ撃ってみて、感覚や視覚的な判断から、前者(ピストンがボルトを完全後退させる)だと個人的に決定付け
ています。ただ、ショート・ストローク・ピストン式などは、ロック解除後の反動余力が関与していないと証明するのは難しい。もし実験するなら、2丁の
同じ銃を用意し、一丁のガス・ポートから、もう一丁のガス・ポートにガスを導き(連結し)、一丁を発射してもう一丁の銃(ガスは導入されるが、発射さ
れてはいない)が完全作動するか?と言う実験で検証できるでしょうが、個人規模ラボラトリーでは無理です(笑)。

今回の質問では、「ピストンはボルトのロック解除だけを行い、その後はバレル内圧によるブローバック作動ではないか?」と言う事なので、これは
簡単に実験できます。以前、リコイル式のガバメントと、ブローバック式のアストラ600のエキストラクターを外して発射する実験をしましたが、リコイ
ル式は薬莢がエジェクトされなかったのに対し、ブローバックは問題なくエジェクトして連射できました。ブローバックはバレル内圧でケースがスライド
(ボルト)を後退させるので、エキストラクターが無くても普通にエジェクトできるのです。チップアップ・バレルを持つベレッタのポケット・ピストルなど、
エキストラクターが省略されていますからね。

上記の実験は今回の質問にも応用できます。ガス・オペレーテッドがロック解除だけ行い、その後はブローバック作動であるなら、ケース(薬莢)が
ボルトを押して完全後退させるわけですから、ブローバック式ピストルと同様、エキストラクターが無くてもケースはエジェクトされるはず
ですからね。

そんなわけで・・・↓







エキストラクターを外しました

実験に使ったのはルーマニアンAKの民間版であるWASR10です。これを選んだのは、ボルト・ストロークが(異常なほど)長いので、検証実験に
適しているからです。この長いボルト・ストロークを、はたしてガス・ピストンが完全後退させるのか?或いは発射後のケースなのか?







発射準備完了!

わくわくするのう







ドーン!!

発射の瞬間。秒間30枚の高速撮影によるローリング・シャッター現象気味ですが、その辺は脳内補正してください。







ピストン勝利!

ガス・ピストン(AKはボルト・キャリアーと一体)が完全後退しているのに対し、ケースはチャンバーから抜け出した時点で取り残されてしまいました。
これは以前ピストルで実験した際の、ガバメントと同じ結果です。ケースがチャンバーから少しだけ抜け出るのは、バレル内の残留腔圧によるもので
す。言うまでもなく、その圧力にボルトを後退させる力はありません。







オラオラ!どけやボンクラ!

AKはボルト・ストップが無いので、前進してきたボルトに、取り残されたケースが無残に潰されてしまいました。







別の場合

10回ほど実験を繰り返しましたが、ケースが全く動かずにチャンバーに残った例(写真)もありました。反面、ケースが辛うじてポロリとエジェクトされる
場合もありました。いずれにせよ、ケースがボルトを完全後退させた例は無く、結論として「ガス・オペレーテッド作動にブローバック作動は関与してい
ない」となります。一応、確認のために。機会があれば他の銃でも検証したと思います。







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